『ご近所物語』/矢沢あい
本日は美波町門前町再生交流オフィスで販売中の『ご近所物語』の紹介をします。
作者の矢沢あいさんは日本を代表する漫画家で、代表作に「天使なんかじゃない」や「NANA」などがあります。『ご近所物語』は「りぼん」で1995年2月号から1997年10月号にかけて連載されて、コミックスは全7巻となっています。
この作品では、家が隣同士で同じ服飾の高校に通う実果子とツトムの恋愛模様を、家族や友人・知人との関係性の中で描いていきます。
主人公の実果子には「将来はファッションデザイナーになって自分のブランドのお店を持つ」という夢があります。ツトムも実果子のその夢を尊重し、周りの助言を受けながら実果子との恋愛に何とか折り合いをつけていきます。
この漫画では恋愛を至高のものとしてではなく、人生を豊かにする生活の一部といった位置づけで描かれています。
1990年代後半に連載されたということもあり、男女が平等に自分の持っている個性や能力を発揮していくための枠組みである「男女共同参画社会基本法」(1999年施行)がこの作品に影響しているのではないかと思います。
最近では女性の大学進学が当たり前となり、実果子のように自らのキャリアを考えながら生きていくという人はとても多いように思います。
下のグラフは東京都への男女別転入超過状況の推移です。
このグラフで見ての通り、2010年以降東京都への転入超過数は男性より女性の方が増えています。
その要因として考えられるのは、女性が魅力を感じる労働市場が地方には少ないので、自らの能力を活かせる仕事の選択肢が多い東京に集中することだろうと思います。
また地方では女性に対する古い固定観念が少なからず残っており、例えば女性非正規労働者の待遇の低さは男性の扶養下にある働き手は低賃金でも困らないといった通念と関係している場合が多かったりします。
しかし、日本全体で見ると東京一極集中という現象はかなり問題を孕んでいると思います。
例えば東京の出生率は全国で最低なことは有名ですが、内閣府の調査によると東京の経済成長率は0.8パーセントと全国でワースト10位となっています。
つまり、「東京が日本の衰退を後押ししている」と言っても過言ではないでしょう。
これからは日本全体の出生率や経済成長率を上昇させていくためにも、東京一極集中の是正を本気で行っていく時期だろうと感じます。そのためには、地方でも性別の関係がなく多様なライフスタイルを作り出せる労働市場を根付かせていくことが最重要課題です。
さらに、女性にも積極的に議論の場に参加していただき、その意見を尊重して取り入れるということも大切だと思います。「日和佐 発心の会」の話し合いでも、多様な価値観や考え方を尊重することを心がけています。
『ウミガメマスク』の開発では、「マスクの裏地が白色だとお化粧がついて変色する」といった女性会員の意見があり、その意見に寄り添って商品改良を行いました。
この改良によって、幅広い方々にウミガメマスクをご購入していただくこと繋がり、多様な意見を持った人たちを入れて議論を行なっていく重要性を改めて痛感しました。
ちなみに『ご近所物語』は1~5巻セットでお値段は500円になります。立ち読みOKですので、お気軽に遊びに来てくださいね!