日和佐 発心の会

徳島県海部郡美波町の地域づくり団体です。

「ミナミまちめぐり」を通じて

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大浜海岸をツーリング
 

 

 

 2021年4月から「日和佐 発心の会」が中心となって桜町通りの入り口周辺に位置する美波町門前町再生交流オフィスで電動バイクBLAZE SMART EV」のレンタルサービスを開始しました。

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電動バイクレンタル事業の目的は、薬王寺に集中しがちな観光客を町内のその他の観光資源に誘客すること。そして、コロナウイルスの世界的な蔓延に伴い観光客に密を避けながら美波町を楽しんでもらうことです。

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美波町門前町再生交流オフィス

 

 

 

BLAZE SMART EV」は電気を動力として走行する原動機付自転車で、最高速度は30km/h・航続距離は30kmです。 

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BLAZE SMART EV

 

 

 

貸し出し台数は3台で、料金は1台1時間あたり2,000円(インスタグラム投稿で1台あたり500円引き)・平日乗り放題2台5,000円、3台4,000円です。

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「ミナミまちめぐり」チラシ

 

 

 

 またレンタル利用者には、電動バイク専用地図・自撮り棒・バブルカメラの無料貸し出しを行っています。電動バイク専用地図は、大浜海岸沿いを巡る[かめたろうコース]、南阿波サンラインを巡る[かめじろうコース]、桜町通り周辺の飲食店や日和佐うみがめ博物館カレッタを巡る[かめこコース]の3種類用意しており、利用者は地図を参考にしながら自由に美波町を観光します。 

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かめたろうコース

 

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かめじろうコース

 

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かめこコース

 

 

 

利用人数は2021年4月8日〜2022年3月31日の期間で約100名でした。

またメディア掲載実績としてはテレビ出演6回、ラジオ出演3回、新聞掲載6回、広報・雑誌・ネット記事掲載14回と多くの方に事業を知っていただきました。

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四国放送フォーカス徳島「美波町電動バイクで巡る」

 

 

 

約1年間の実証実験を通じて、電動バイクレンタル事業の3つの課題が浮かび上がりました。

 

  [課題1]

1つ目の課題は気候の影響を受けやすいということです。

 

電動バイクを乗るうえでの魅力として「風や自然を感じる爽快感」が挙げられる反面、気候によって利用者数の変動が生まれやすいという課題があります。そのため、12月〜2月の寒冷期は利用者数が他の月と比べると非常に少ないです。また「BLAZE SMART EV」には防水機能がないため雨天の場合は休業となり、悪天が続いた8月の利用者数はわずか3組でした。

雨天での営業方法については打つ手がなかったですが、寒冷期に関してはインスタグラムのフォロワー数1,000以上の方に無料で電動バイクに乗っていただきSNSで発信してもらう「インスタグラマーキャンペン」を行いました。そのキャンペーンでは5組の参加者があり、結果的にその参加者の投稿で電動バイクのレンタル事業を知ったというお客さんも現れました。

一般の利用者の約6割がインスタグラムを通じてサービスを知ったということを踏まえると、閑散期は発信に集中した営業形態に切り替えるということも有効な手段の一つであると思います。

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「インスタグラマーキャンペン」利用者の投稿写真

 

 

 

 

  [課題2]

2つ目の課題点は運転免許が必要ということです。

 

BLAZE SMART EV」の車両区分は原動機付自転車なので、運転するためには普通免許(原動機付自転車免許、普通自動二輪車免許、普通免許など)が必要です。

そのため子連れの観光客の場合は電動バイクの利用が困難です。

美波町の「薬王寺」や「日和佐うみがめ博物館カレッタ」では子連れの観光客をよく見かけるため、子供・家族向けにモビリティ事業を展開することの重要性は高いと考えます。

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薬王寺

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日和佐うみがめ博物館カレッタ

 

 

例えば、兵庫県城崎温泉の「株式会社たびぞう」では運転手1名で3人乗りの電動モビリティ「VEHICLEFUN ETT-BK」のレンタルサービスを行っています。このモビリティであれば子連れだけではなく、乗り物の運転が困難な高齢者や障害者連れの観光客の受け皿になることも期待できます。

このように今後新たな電動モビリティを導入することで、モビリティを利用した観光の敷居を下げるということも可能性としてあると思います。

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VEHICLEFUN ETT-BK

 

 

 

[課題3]

3つ目の課題点は採算です。

 

2021年度の電動バイクレンタル事業の売り上げから保険料や修理代を差し引いた金額を考えると思うような利益は出なかったです。

近年地域におけるモビリティの重要性が高まる一方で、収益が出ないことにはサービスの継続性は見込めないという課題があります。そのことから来年度のレンタル事業では利用料金は変更せずに、利用可能時間を増やすことで、2021年度より高い売り上げとなることを目指して事業を行う予定です。

 

また昨年度の12月からは電動バイクの鍵を地元の飲食店に見せると特典が受けられるサービスを開始したので、電動バイクの利用時間が増えることは地元のお店にお金が落ちることに繋がると予想もできます。

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電動バイク利用者の地域のお店での交流

 

 

 

[電動モビリティの新たなる動き]

2022年3月4日に最高時速20キロ以下の電動キックボードについて、16歳以上は免許なしで運転できる道路交通法改正案が閣議決定しました。

国会で成立すれば、新たなルールは2024年夏までに適用される見通しです。

www.asahi.com

 

最高速度は20キロ以下と低速ですが、桜町通りや日和佐浦周辺のエリアを巡るためのツールとしては大いに可能性があると思います。また運転免許書が不要なため、公共交通手段の乏しい地域における高齢者や足の不自由な方に対する移動手段の提供というメリットもあります。

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電動キックボード

  

 

[まとめ]

本事業を行っていくなかで気づいたことは電動モビリティという新しい技術を取り入れるだけでは移動需要は生まれないということです。

地域の活性化を考えるうえで移動需要の創出は切っては切り離せません。

しかし、交通は目的があってはじめて成立します。つまり、移動と観光資源をどのようなストーリーとして提供するかが重要な課題であると思います。

 

来年度も美波町地域資源を生かしながら、モビリティを「どのように利用するか」という眼差しや考える場を大切にし、新しい実践を行っていこうと思います。

 

 

 

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