日和佐 発心の会

徳島県海部郡美波町の地域づくり団体です。

ATM改修編 (前編)

 

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「Art Tourism Museum 373 」のロゴ


JAバンクATMを正式にお借りすることが決まり、まずは整地作業をして倉庫の設置を行いました。

 

会員たちで休日に集まって作業を行いました。

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整地作業

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倉庫の設置作業

 

倉庫の前には単管で骨組みを組んで看板を設置しました。

これはロバート・ヴェンチューリの「装飾された小屋」という手法を参考にして考案しました。

 

看板はコーナンPRO南小松島店で購入した「アルミ複合板パンチング」を使用して、軽い印象にしました。

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看板の骨組み固定

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「アルミ複合板パンチング」の取り付け

 

次にATMの改修作業です。

まずは内部のボードと軽鉄下地の撤去を行いました。

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壁の撤去作業

 

ここで問題が発覚…

壁からも天井からも雨が漏っていました(笑)

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仕上げ撤去後の様子

 

我々には防水のノウハウが全くなかったので、地域で防水関係のお仕事をしている「ナカバリコート」にお話を伺いにいきました。ナカバリコートには快く防水のノウハウを教えていただき、「地域のためなら」ということで防水塗料までいただきました。

 

 

ナカバリコートから教わったノウハウをもとに、はじめに既存防水の撤去作業を行いました。

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外壁防水の撤去作業

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屋根防水の撤去作業

 

既存の防水を全て撤去し、次に防水作業を行いました。

 

 

こちらは壁の防水作業です。

写真はマスキングテープで養生した後にコーキングガンでパネルの目地を詰めている様子です。目地を詰め終わった後はヘラ(我々はスプーンを使用)でならして、すぐにマスキングテープを剥がしてシールが硬化するのを待ちます。

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外壁の防水作業

 

 

こちらの写真は屋根の防水作業の様子です。

もともとは「シート防水」だったのですが、新規の屋根防水は素人でも簡単に作業を行える「塗膜防水」で行いました。

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屋根の防水作業

 

 

防水工事を終えて、雨水の侵入が完全にシャットダウンされたのを確認した後は、内部の鉄骨のサビや汚れを落として塗装作業を行いました。

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内部のケレン作業

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内部の塗装作業

 

 

次に地域の電気設備会社に電気工事をお願いしました。

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電気工事

昔はATMなだけあって電気工事はスムーズに進み、内装作業と外構作業が開始しました。

 

 

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ATM計画編

 

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「Art Tourism Museum 373 」の看板


「日和佐 発心の会」は、薬王寺門前町である桜町通りのにぎわいを復活させることを目的に発足した地域づくり団体です。

 

我々には桜町通りの活性化を考える上で大きな問題意識があります。それは薬王寺は年間100万人以上の参拝客を有しますが、桜町通りにはあまり足を運んでもらえていないということです。

 

だけど、桜町通りには創業90年以上の製菓屋や古民家を改修してできた新しい飲食店など多様で魅力的なお店がたくさんあります。

 

そのため我々は薬王寺入り口周辺に地域のお店を紹介するギャラリーを設けることで王寺の参拝客を桜町通りに誘導できないかと考えました。

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薬王寺門前町の桜町通り

 

計画を考えるにあたって、まずは薬王寺入り口周辺で空き家を探すことから始めました。

唯一見つけることができた空き家がこちらです。

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JAバンクATM(歩道からの眺め)

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JAバンクATM(薬王寺温泉からの眺め)

 

 こちらは元JAバンクのATMとして使われていた建物です。

 

初めて見たときはめっちゃ小さいという印象でしたが(笑)

よく見ると入り口の半円ポーチはなかなか魅力的だし、薬王寺の参拝客がよく通るエリアに建っていました。

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配置図

まずは持ち主にお話を伺いに行ってみることに、

持ち主はガーデニングを生きがいとされており、元JAバンクATMはその方の肥料や鉢植えを入れるための倉庫として使っていました。

 

そのため元JAバンクATMの改修のみではなく、持ち主の倉庫や庭を含めて提案を行って納得してもらえるように交渉を進めました。

 

我々が行なった提案は主にふたつです。

 

ひとつ目の案は

棚の倉庫を設置して、その倉庫と元ATMの間にパーゴラの屋根をかける案です。

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A案:パーゴラ+棚の倉庫

 

ふたつ目の案は

ATMと同じくらいの床面積の倉庫を設置して、倉庫の前に看板を建てる案です。

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B案:看板+既製品倉庫

 

これらのふたつの提案を持ち主の方にお見せして、話し合いを進めていきました。

 

持ち主がご高齢で「棚の倉庫」に物を入れることは身体的な負担になるという話があり、B案で方針が決まり、正式に建物をお借りすることになりました。

 

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B案平面図

 

またこの計画で「移住交流モデル事業」という県の助成金の申請が通り、本格的に改修作業がスタートしました。

 

 

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ウミガメマスク販売開始

 

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ウミガメマスク 子供用

初回販売用のマスクが完成したのは2020年8月ごろでした。

 

その時期になると既に不織布のマスクは日本中どこででも手に入るし、布マスクはよくお店で見かける商品となっていました。

 

こういった状況で「ウミガメの絵が描かれたマスクです」って販売してもなかなか売れないだろうなと思ったので、

 

「ウミガメの絵」が描かれたマスクにしかない価値を考えてみることにしました。

 

そこで思いついたのが、ウミガメは「長寿の象徴」だということです。

  

つまり、「ウミガメは長寿の象徴なので祖父母のプレゼントにぴったりです」という情報をお客さんにうまく伝えることで、その他のマスクにはできない特別な体験をすることができるという商品価値が生まれるのではないかと思ったわけです。

 

そういう発想を軸にして、販売に向けたブランディングが開始しました。

 

美波町には四国八十八ヶ所第23番霊場であり、厄除根本御祈願所として全国的にその名を知られている薬王寺というお寺があります。

完成したマスクは薬王寺に厄除御祈祷をしていただき薬王寺の神様の「不安定な世の中でも無事に過ごせるように」という願いが込められました。

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薬王寺厄除御祈祷

次にマスクの包装について検討を行いました。

プレゼントとしてお渡しする際の高級感の演出や、薬王寺厄除されていることが感じられる装いを持たせるためにマスクは桐箱に入れて熨斗を巻いて包装し、名称を「厄除御祈祷済 ウミガメマスク」にしました。

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厄除御祈祷済 ウミガメマスク

このように、

・ウミガメ

・道の駅日和佐

・橋本シャーン

・黒岩縫製株式会社

薬王寺

といった美波町の地域性が、マスクをより魅力のある商品へと高めていきました。

 

そのような美波町の地域の魅力がたくさん含まれた「ウミガメマスク」を多くの人たちに知っていただきたいと思い、

 

美波町で地域づくりを行っている神奈川大学曽我部・吉岡研究室にご協力していただき、

阿波尾鶏中華そば藍庵のギャラリーで「ウミガメマスク」を紹介する展覧会を開催しました。

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ウミガメマスク展覧会

 

また新聞やテレビでも取材していただきました。

テレビの放送日が「敬老の日」の前だったので、「ウミガメは長寿の象徴なので、敬老の日のプレゼントにピッタリ」といったコメントをしました。

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徳島新聞ニュース」での放送

 

販売に向けた商品のブランディングや広報活動が上手くいったためか、道の駅日和佐日和佐うみがめ博物館カレッタでの「ウミガメマスク」の販売は順調な売れ行きでスタートしました。

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「道の駅 日和佐」販売の様子

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「日和佐うみがめ博物館カレッタ」販売の様子

 

さらに販売を始めて少し経った時には日和佐診療所の職員の方から「診療所の受付にウミガメの絵の暖簾を取り付けたい」という依頼がありました。

 

あらためて橋本シャーンさんのご親族にそのお話をお伝えしたところ、「どうぞ自由に楽しくやってください」とのことでした。

毎度のことながら、本当に感謝しかありません。

 

ウミガメの絵の使用許可が取れてからは黒岩縫製株式会社と協力をして暖簾の製作を行い、

診療所の受付に「ウミガメノレン」として取り付けを行いました。

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日和佐診療場の受付

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ウミガメノレン

 

「ウミガメマスク」の商品開発を通じて、美波町地域固有のデザインの魅力をたくさんの人たちに知ってもらうことができたのは非常に良かったと思っています。

 

今後とも地域の方から依頼があれば、橋本シャーンさんが描かれた「ウミガメの絵」を使った新たなプロダクト開発をしていきたいなとも考えておりますので、何かあれば気軽にお話しください。 

 

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ウミガメマスク製作過程

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「ウミガメマスク」の製作風景

橋本シャーンさんのご親族から「ウミガメの絵」の使用許可をいただき、

まずは布マスクの効果について調べてみることにしました。

 
調べていくと、感染予防という点では布マスクはかなり厳しいとのことでした。
 
理由は色々あって、
・ウイルスの大きさは約0.1μ
・ガーゼは繊維の隙間の大きさが約500μ(ウイルスの約5000倍)
・不織布は繊維の隙間の大きさが約5μ(ウイルスの約50倍)
・顔とマスクの隙間からウイルスが入ってくる(顔にマスクを完璧にフィットさせることは至難の技)
などといった理由で、
 
つまり、ウイルスはめちゃくちゃ小さいから、布マスクをしたとしても簡単に通り抜けるというわけです。
  
ただ布マスクは感染予防には全く効果がないわけではなくて、
 
主に以下の3つの効果が期待できるそうです。
 
鼻や喉の粘膜を保湿・保温してウイルスの感染を防ぐこと
・ウイルスのついた手で直接鼻や口を触らないようにすること
・唾液などの大きな飛沫を飛ばさないこと
 
そういうことから、できるだけ感染予防に効果的なマスクのデザインを念頭に製作を開始しました。
 
 
マスクの生地は繊維の隙間の比較的小さい不織布を真ん中にして、外側はプリント生地のシルクコットン内側は保湿・保温効果の高いガーゼの三層構成にしました。
 
次に、マスクの形状とプリントの検討を行っていきました、
 
形状を考えるにあたって最も重要だったのは、
顔とマスクの間にできるだけ隙間が生まれないようにすること、
・マスクの表面の継ぎ目を小さくして「ウミガメの絵」が損なわれないようにすることです。
 
色々な縫い方を試しましたが、
マスク中央の上下を縫って立体を作る方法によって、最も理想の状態に近い形ができました。

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マスク形状
 
最後に、その形に「ウミガメの絵」をどのようにプリントするかを考えました。
はじめはウミガメが、どういった配置ならおもしろい柄ができるかを考えていましたが、

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プリントの検討
「道の駅日和佐」の包装紙に描かれたまんまで生地にプリントアウトして、
それを裁断して作ると一枚一枚が全て異なった絵のマスクになることに気がついてたため、その方針を採用しました。
 
デザインの方向性が決まったので、 
 
 桜町通りにある「黒岩縫製株式会社」という縫製工場に手縫いで作ったマスクのプロトタイプをお見せして、製作のお願いをしました。

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マスクのプロトタイプ(手縫い)

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黒岩縫製株式会社
 
黒岩縫製には製作を快くお引き受けしていただき、
型紙を使って細かなデザインの検討を一緒に進めていきました。

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マスクの型紙(最終形)
  
検討が終わったところで、REALFABRICで注文したプリント生地がタイミングよく届いたので、

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プリント生地
まずはマーケティングテスト用のマスク50枚の製作をお願いしました。
 
完成したマスクがこちらです。

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黒岩縫製が製作したマスク

流石に縫製のプロだけあって、手縫いで製作したものとは比べ物にならない完成度でした(笑)
 
完成した50枚のマスクは、
「日和佐 発心の会」の会員や桜町通りの住民などにお配りして、意見を伺いながら、さらにデザインの改良を行いました

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試作品のマスクを試着する「日和佐 発心の会」の会員

そういった地道な作業を経て、
ようやく地域の人たちが納得するマスクが完成し、販売に向けた新たにスタートをしました。
 
 
 
 

ウミガメマスク誕生のきっかけ

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ウミガメマスク


新型コロナウイルスの蔓延によって、世界中の人たちの必需品となったマスク。

「日和佐 発心の会」でも昨年から美波町のシンボルキャラクターである「ウミガメ」の絵が描かれたマスクの販売が開始しました。

 

きっかけは「道の駅日和佐」の産直館で買い物をしていた時です。

 

徳島の名産すだちを買おうとした瞬間、ウミガメの絵が描かれた包装紙が下に敷かれていることに気がつきました。

 

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道の駅日和佐「産直館」- すだちコーナー -


「これはかわいい!!」ということで、

 早速、店員さんにウミガメの絵について詳しい情報を伺ってみました。

 

店員さんのお話によると、

ウミガメの絵は美波町出身の画家「橋本シャーン」(1943年〜2019年8月22日)が「道の駅日和佐」のために描かれたとのことでした。

 

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橋本シャーン

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ウミガメの絵

 

その頃は布製で洗って何度でも使える「アベノマスク」が一世帯あたり2枚配布されるというニュースが世の中を飛び交っていた時期ということもあり、

ウミガメの絵を使ったマスクを商品開発してみたい」と思うようになりました。

 

シャーンさんは既にお亡くなりになっていたことから、シャーンさんのご親族に「この絵を使ってこんな感じのマスクを作りたい」とマスクの試作品をお見せしました。

 

シャーンさんのご親族からは「なかなか可愛いじゃないですか!これならシャーンも喜びますよ!」と心良くウミガメの絵の使用許可を得ることができました。

 

地域で仕事をする際にシャーンさんのご親族のように「自由にやらせてくれる」方というのは、とても貴重で重要な存在なんだなと、今となってとても痛感します。

あの時のことは本当に今でも感謝しています。

 

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ブログを開設しました

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「Art Tourism Museum 373 (通称:ATM)」の前での集合写真

 

ブログ開設のきっかけ

 

日和佐 発心の会」ではfacebooktwitterinstagramといった3つのSNSをやっています。

SNSでは鮮度のある情報を多くの方に知ってもらえる反面、更新情報がアップされると古い投稿は流されてしまうという欠点があるので、古い投稿でも検索エンジンに残りやすいブログを始めることにしました。

「日和佐 発心の会」は発足して、今年の4月で6年になります。

今まで特別な技術や能力によって地域づくりを行ってきたわけではなく、一人一人のある程度やれることを掛け合わせて新しい事業に取り組んできました。

 

このブログで過去に行った活動を振り返ることで、多くの人たちとインタラクティブな関係が生まれるとおもしろいなと思っています。

 

まずはゆるーく更新していこうと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

  

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